実験や観察の手順、結果をしっかりと読むこと。
公立高校入試の出題傾向
大問5題。小問集合1題と 「化学」「物理」「生物」「地学」の4分野から各1題ずつ出題される。
小問集合の第1問は、4分野からそれぞれ小問が3問出題され、第2問以降は、各分野の内容が1単元、または2単元出題されることが多い。第2問以降の問題は、実験や観察から出題される。素材はオーソドックスなものが多く、基本的には解答しやすいものが多いが、一部目新しい内容が混じっていることがあり、思考力・判断力が問われる難度の高い出題が見られることもある。また、解答を導くのに必要な情報は、文章の他に、図や表などにも含まれていることがあるので、読解力・注意力をしっかり養っておく必要がある。
出題形式では、長い文章記述が出題されることがある。内容の理解とともに、問いに対して適切な解答を書くという表現能力が問われると言える。文章記述は中間点が入るので、完全正解でなくとも中間点を確実に得点し全体として得点をのばしていくことが重要。計算問題は、比較的難易度の高いものが多い。演習問題を繰り返し解き、十分な対策をしておこう。
- 化学のポイント
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身のまわりの物質とその性質 |
「水溶液の性質」が中2・中3内容に関連付けて出題されることが多い。溶解度、質量パーセント濃度の計算などをしっかり確認しておこう。 |
気体の性質 |
水溶液の性質 |
物質の姿と状態変化 |
物質の成り立ち |
出題頻度は非常に高く、近年はほぼ毎年出題。
分野を超えた融合問題も多く、注意が必要。 |
物質どうしの化学変化・酸化と還元 |
化学変化と質量・その利用 |
水溶液とイオン |
酸、アルカリとイオン |
化学変化と電池 |
- 物理のポイント
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光の世界・音の世界 |
「力」は「運動」や「エネルギー」との融合で出題されることが多い。 |
力の世界 |
静電気と電流 |
他分野と融合した出題で 難易度が高くなる場合がある。 |
電流の性質 |
電流と磁界 |
物体の運動・力のはたらき方 |
出題頻度は高い。難問になりやすいので要注意。 |
仕事とエネルギー |
- 生物のポイント
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植物の分類 |
出題頻度は高い。「光合成と呼吸」「蒸散」「からだのつくりと分類」などをしっかり確認しておこう。 |
動物の分類 |
生物と細胞 |
出題頻度は高い。幅広い分野からの出題。 |
植物のからだのつくりとはたらき |
動物のからだのつくりとはたらき |
刺激と反応 |
生物の成長と生殖 |
出題されることは多くないが、対策はしっかりとしておこう。 |
遺伝の規則性・進化 |
- 地学のポイント
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火山・地震 |
「火山」「地震」からの出題が多い。 |
地層・堆積岩 |
気象の観測・雲のでき方と前線 |
「空気中の水蒸気の変化」「気象観測と前線」などをしっかり確認しておこう。 |
大気の動きと日本の天気 |
地球の運動と天体の動き |
思考力が試される難問が多く、注意が必要。 |
月と金星の見え方・宇宙の広がり |
自然環境・科学技術と人間 |
出題頻度は低いが、軽視せず基本をおさえておこう。 |
今年度入試の対策法
前述の通り、実験または観察から出題され、文章の読解や、図や表の読み取りも重要なので、実験や観察の内容を理解し、図や表を読み取る、読解力・注意力が問われる。また、比較的長い文章記述が出題されるので、公式や語句などの丸暗記的な学習ではなく、問題文の実験や観察の内容や、その目的を理解し、その結果を踏まえて考察し、表現するという練習をしておくことが必要である。「教科書は覚えた!」と思っていても、模試などで得点が伸びない人は、「基礎力はついているが、応用力が足りない」ということ。基礎力がある程度ついたと思ったら「入試形式の実践的な問題の演習→間違えたところを復習」というサイクルを繰り返し行って総合力アップを目指そう。
これまでの入試問題を分析してみると、ほぼ毎年のように出題される単元と、数年おきに周期的に出題される単元があり、次の入試の出題単元をある程度予測することは可能である。しかし、偏った学習をして苦手分野をつくってしまうと、予想が外れた場合に大問1題の大部分を取り逃すおそれもあるので、全単元の内容をしっかり理解しておきたい。
以下は、近年の傾向をふまえた、各分野の対策である。
化学
「化学変化と原子・分子」、「化学変化とイオン」は出題頻度が非常に高い。教科書に載っている化学変化や実験はすべて確認しておきたい。気体の性質・製法・捕集方法は他単元の実験と絡めて出題されることもあるので、しっかり確認しておこう。
物理
特に「電流・磁界」と「運動」の出題頻度が高い。物理分野を苦手とする人が多いためか、出題されると難問となる場合が多い。「電流」は直列・並列回路の電圧と電流の関係を、「磁界」は電流と磁界の強さや向きの関係についてしっかり確認しておくこと。「力」など他分野との融合も多く、難易度が高いことが多い。注意が必要。
生物
「植物・動物のからだのつくりとはたらき」は非常に出題頻度が高い。どちらもさまざまなタイプの実験や観察が出題されているので、できるだけいろいろな素材にふれておき、苦手な単元が無いように十分に準備しておきたい。「生物のつながり」は難易度が高いものは少ないが、取りこぼすことのないように準備をしておこう。
地学
どの分野も偏らずに出題されている。苦手分野をつくらないようにしっかり準備しよう。理解力・思考力が問われる非常に難度の高い問題が出題されることが多いので、注意しておこう。
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