公立高校入試問題の分析【国語】

「特別な解法」や公式のようなものはない。日本語で書かれた文章を正確に読み取り、答えるだけである。答えは本文中にある!

公立高校入試の出題傾向

大問は5題。本文の内容に関する対話からの出題があるのが特徴的で、文学的文章や古文でよく出題される。作文は、「俳句」、「意見」、「投書」などの資料をふまえて、自分の考えやそのように考えた理由を書く問題が出題されることが多い。出題分野と配点は次のようになっている。

  • 第1問「漢字・言語事項・実用的文章」(14問・30点)
  • 第2問「文学的文章」(6問・20点)
  • 第3問「説明的文章」(6問・20点)
  • 第4問「古典」(4問・10点)
  • 第5問「作文」(20点)
読解分野のポイント
文学的文章は小説が中心。登場人物の心情に関する問題が必ず出題される。心情は、会話や行動、情景描写などに間接的に表現されていることが多い。
説明的文章は論説文が出題されることが多い。筆者の考えや要旨をまとめる40〜50字程度の記述式問題が必ず出題される。理由や内容を説明する設問も多い。
記述式はそれぞれ1~3問出題される。記号選択、抜き出しも多い。
漢字・言語事項・実用的文章のポイント
漢字の読みは中学校で習った漢字が中心、書きは小学校配当漢字から出題される。過去、正答率の低い問題は、訓読みの漢字や、普段あまり馴染みのない熟語が多い。
実用的文章は、インタビューや話し合い、スピーチなど実用的な素材文が与えられ、そこから表現や発言の役割に関する問題などが出題される。文法、四字熟語、敬語などの言語事項が出題されることもある。
古典のポイント
標準的な古文(説話・随筆)が中心で、和歌や俳句を含むものが出題されることもある。
かなづかいや漢文は言語事項分野(小問レベル)で出題されることもある。
設問は、全体の内容や主題に関する問題、かなづかいや主語、5〜25字程度の記述式(現代語で答える)問題が定番。
作文のポイント
与えられたテーマについて、自分の考えやその理由、体験などを160字〜200字でまとめる。

難易度・平均点

2023年 2022年 2021年 2020年 2019年
70.9 58.0 61.2 55.6 67.2

過去5年の平均点は上の表の通り。年度によってバラツキが大きい。

今年度入試の対策法

小問数が多く、最後の大問には160字~200字の作文があるため、時間配分が重要になってくる。一つの問題に気を取られていると、最後まで進めずに終わってしまうこともある。効率よく得点するために、日頃から時間を設定して演習するとよい。また、先に設問を読むことで、どのような観点で本文を読めばよいかがわかり、主題を把握しやすくなる。配点の大きい作文から始めるのも一法。
記述力は、演習→復習を繰り返すことによって確実に高めることができる。あきらめずにとにかく「書く」ことが重要である。

文学的文章

行動・会話・情景描写などが、どのような「心情」を表しているのかを考えながら読むこと。場面の設定や展開、人間関係なども重要な手がかりとなる。

説明的文章

具体例や経験などの事実を述べた部分か、筆者の主張や考えを述べた部分かを意識しながら読むこと。文中でくり返される表現は必ず核心に関わる。また、文章構成を考える上で、段落ごとの中心文や、段落と段落の関係を押さえることも重要である。その際、接続語も重要な手がかりとなることを押さえておこう。

古典

主語や話者は省略されていることが多いので、常に意識しながら読み進めること。代表的な古語の意味やかなづかいも押さえておこう。漢文は、返り点(レ点、一・二点)を押さえれば、あとは古文と変わらない。

漢字

漢字の読み書きだけで16点分あることを忘れないこと。漢字は日頃から正しい筆順で、丁寧に書くことを心掛けよう。

実用的文章

「話すこと・聞くこと・書くこと・読むこと」に関する基本的な表現力、活用力をみる出題が多い。教科書で取り上げられている日常生活や社会生活に関わる事項(スピーチ・プレゼンテーション・話し合い・インタビュー・案内文など)の基本をしっかり押さえておこう。

作文

まずは設問を正確に読み取り、文章構成・形式を整えること。普段から、テーマを決めて、本番と同じ字数で書く練習を重ねることが重要である。

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